■ 第14回 2008年4月26日掲載
熱く燃えた洋上大運動会

インドを出発して次の寄港地アデン(イエメン)に向かう。偏西風の影響で船は大揺れ。大揺れの中、何かに熱中したいとマジックショーに参加する。「よーく見ていて下さい」の声に、最前列の席で食い入るように見ていた私。そうは簡単にいかない。スプーンをうまくねじ曲げられない私を見て、ポロッと折れる瞬間を舞台に上がって体験させてくれた。本当に「ポロッ」である。記念にと、ねじ曲がったスプーンをいただく。

大荒れの航海のなか7月1日、予定通りアデン港に入港。この日は、日本(長門市)では、山陰本線を走る列車「みすゞ潮彩号」の出発記念式典の日(主人が列車のデザインを手がけた)。ピースポート乗船中の主人に代わって長男が東京から式典に出席してくれた。どんな様子だったのだろうか?

アデンは治安が良くないとのことで主人もツアーに参加。イエメンはバリバリのイスラムで女性はみんな黒ずくめ。我々女性もその習慣に習って38度を超える暑さよけも兼ねて大判スカーフで頬かむりして観光バスに乗り込んだ。巨大な岩山が続き、灰色一色。全く緑が無く荒涼としている。車窓からは貧しい町並み、男性が多く目立つ。女性は黒いベールで身体をすっぽりと包み、眼だけを出すエキゾチックな姿。暑い国の特徴なのか?女性には緊張感を感じるが、男性がだらしなく、汚く感じたには自分だけだろうか?

途中で離脱を願い出て単独でまわることにする。フランスの放浪詩人アルチュール・ランボーゆかりのランボー・ハウスに立ち寄る。そして午前中、市内観光で見た市場(花や果物)に興味があったので行ったところ、そこは既に葉たばこの市場に早がわり。男性専用の市場になっていて、揃って口をもぐもぐさせている。噛みたばこだ。何となく不潔感を抱いた。そんなエキゾチックなイエメン観光であった。

例によって真夜中にアデンを出港。翌日は遅れに遅れていた洋上大運動会。陸を離れての開放感か?誘われるままに南組(赤組)の応援に参加。赤のスカーフに身を包み、「みなみ、みなみ」とリズミカルに掛け声をかけ、段々に熱気に包まれて気持ちも一つになってきた。老いも若きも一致団結。赤・白・青・黄に分かれてはいるが、和気あいあいで敵同士という感じではなく、「和」を強く感じる。中間結果で赤組は精一杯の応援の甲斐も無く3位だったが、最後の団旗賞が赤組に輝き、なんとなんと優勝に繋がった。その大逆転の喜びは、年甲斐も無く興奮し肩を叩き合った。赤組の団旗はひと針ひと針縫いこんで刺繍がしてあり、見事な出来ばえであった。運動会の中では青組の「おお縄跳び」の10回連続跳びが実現し、大歓声。青組選手の一致団結は二度と味わえないぐらい素晴らしく、美しかった。みんなの息が合っていて、勝ち負けよりも気持ちが一体となって胸の中に入り込んでくるような、躍動を感じる興奮を覚えた。暑さも疲れも吹っ飛ぶ、逆転優勝の喜びはひとしおであり、皆の力が一つになるという事の大きさを感じた洋上大運動会であった。(恭子)