ベトナム入港の前日に寄港地説明会が行なわれた。迷ったけれど一般的な観光地「古都フエ観光2日間」を申し込む。港から3時間かけて北上。道路にはバイク、そして自転車が埃をたてながらところ狭しと走り、崩れたままの建物が目立ち、戦争の悲惨さを物語っていた。警笛をけたたましく鳴らしながら車の間をバスがすり抜けて行く。なんと騒々しいこと。車窓からの景色に気持ちは戦後まもなくの日本にタイムスリップしていた。強いものが勝つ、負けてなるものか、なにくそという逞しささながらの生活感が伝わってくる。
爽やかな海岸線に出ると、夕暮れなのにお祭りとかで恋人同士、家族連れで賑わっていた。ベトナム挙げての大工事のハイバン峠を通過する頃にはとっぷり日は落ちていた。少し眠り、グエン王宮に着いたところで目が覚める。足元の暗い中、私達はガイドさんからはぐれないよう必死だった。夜9時半頃にフォンザンホテルに到着。この日はBさんと同室になり、部屋でお互いに自己紹介。大分県から参加された方で偶然にも同い年。すぐに打ち解けておしゃべりをしながらモーニングコールを頼りに眠りについた。スケジュールが大幅に遅れた事で代表的民族衣装アオザイを採寸注文出来なかったことに悔いが残った。
翌朝はフォン川に面したテラスで朝食。アオザイ姿のウエイトレスがとても優雅に映った。川面は蓮の花が咲き乱れ、川を下る竜の形をした遊覧船が整然と客を待っていた。派手な色合いだが、周りの色に溶け合っていてとても素晴らしい。ホテルからシクロ(自転車の人力車的乗り物)に乗り、昨夜観光した王宮に向かう。一人乗りなので少し不安。ガイドさんの「心配ないよ」の言葉に気持ちを落ち着かせ出発。言葉は通じないが、写真マニアの私に合わせて時々スピードを緩める配慮が嬉しかった。かつての悠久の歴史を誇る建物が復元され観光客を迎えていた。誰もが誇りを持ち支えている。市民生活の中心地ドンバ市場でシクとはお別れで運転手と記念写真を撮る。ちゃっかりチップを請求。2ドルと言う。市場は渦高く積まれた商品、生活用品の数々。ここでも逞しく生き抜く力強さが伝わってきた。背丈は男女あまり変わらず小柄。女性の方がより逞しく感じる。初めての上陸、主人とは別行動と、少し不安だった気持ちも吹っ飛び、ノスタルジックな環境にパチパチとカメラのシャッターを押し続けた観光はあっという間に過ぎてしまった。(恭子)